80光年のヴァンライフ:2

投稿2回目です。

 

半ば勢いでいっぱつ目を投稿しましたので、あまりはっきりとした目的を持っていませんでしたが、一週間経ってみて思ったのは。。。

やっぱり楽しむなら目一杯やらなくちゃなって感です。

 

ここで一方的に書きなぐったSFを上げるだけ上げておしまいってのじゃ、続かないだろうし、とりあえずの第一目標は何らかの形で販売することにしてみようかな。

誰かに買ってもらうため、とかもうけをだしたい!

ってことじゃなくて、貯金を使って趣味の延長でやってる珈琲屋さんみたいな感じで、やってみたい。

 

世界観ばかり考え続けるのも、インスピレーションというか、ネタのインプットとか発想とかが追いつかないと、文章が薄っぺらくなってしまうので、文章を上げる方法も推敲をしてみようとおもいます!桜坂洋さんはMeadowとかTeXを使っていた、なんてのを聞きかじったので、フリーソフトウェア運動に貢献したいという感を自分の中で盛り上げ続けていくためにも、

縦書きTeXに取り掛かっていこうと思います。

 

なんだか話題がそれてしまったような気もするけど、いつか僕らも自家用車で月旅行したいですな!

それでは前回の続きです。

 

80光年のヴァン・ライフ:2

 


ボブ・ディランに憧れた私は、ハーモニカとギター一本で世界の民謡を集めて回ることが夢だった。


はじめのうちは自分で彼らの演奏した曲を自分で弾けるようになることが喜びだったのだけれど、大学で電子情報通信を学ぶうち音声信号としての楽器に興味は移っていた。
特にレコーディング技術に関しては趣味としても学としても興味深い。
エアロックの外はこのヴァンと、星星の輝きを除いて、はるか無限遠まで壁のない、完全な無響室なのである!
私はこのooo-28のブリッジに豪快にピックアップを取付け、ヘルメットのマイクとでスペースフォークソングを奏でるために旅をしているのだ。

それぞれの駅にはそれぞれの中域の歴史が遺されている。
先月の生活物資を調達した駅では、銀河スケールの大規模な疫病感染があったらしく、そこら中に壁や地面がアルコールまみれで、ちょっとでもバッテリーの接続スパークが飛ぼうものならそこらじゅうが火の海になってしまい、11光年を旅して見つけた食料が消し炭になってしまう…なんていうこともあった。
この冷酷な宇宙で地に足をつけず生き延びていくためには、ギターばかり弾いてもいられないのが現実だった。
それに、出発した地球から持ってきた非常用携帯食料が残り少なくなって来た。そろそろどこかの星に継ぎ足しに行きたいとも思ったが、ふとルーフウインドウを仰ぐと、自分が素晴らしく輝くアステロイドの中にいつの間にかいることに気がつく。

私は長らくその一から動くことのなかった自動航行用のレバースイッチをピックを持っていない余った薬指で倒す…
そして、自動が止まり、推進Gによる重力が切れる前に地上から持ってきたペダルスイッチを踏み込む!
私のスペースooo(トリプルオー)のピックアップのファンタム電源が入り、ヘルメットのビルトインフォンを軽やかにポンと小突く。
完全に全体が逆噴射を終え、美しきアステロイドの中にその躰を寄り切ったとき、私はもともと中間基地局へのピング送信用スイッチだった赤いボタンを押し、レコーディングを開始した。

クルクルとテープが回り始める…これは、連邦基地におくるメッセージパイプ用の小さなカセットタイプではない。
一度に録音できるトラック数を増やすため磁気テープの幅がメッセージテープの連絡という会話内容が伝わりさえすれば良いという、それよりも3.5倍も幅広なものだ!
これを見つけたのは前々回の食料補給のときの駅だ。
あのときは運良く質量の大きな恒星の間に出ることができて、ラグランジュポイントには素晴らしいジャンク(宝の山)が手つかずだった。
レコーディング用のヘッドはメッセージパイプ用のものを流用してはいるが、その他レコーディングに必要な回転機構…リバースや定回転用コントローラーは、大学時代に培ったメカトロセンスと、本来船体の予備パーツ用の金属プリンターで自作したものだ。

テープに収められる振幅に余裕ができ、音質の向上になることはもちろん。だが私は何より、もうこの宇宙であのラグランジュポイントにしか残っていないかもしれない最高のジャンクを、最高の技術を持ってして自らレコーディングできる状態にし、
自分の大好きなボブ・ディランを儚くも吹き込むことができるというその連続時間を作れるというシステムが、合理性を超えて気に入っていた。

1、2コーラスほどリハーサルに虚しくつまりつつレコーディングできたところで、けたたましく質量近接警報機が割り込む…