ヒナギクのはなうた
奴らがボクら人間を奴隷にしてからってのはな、そら気の遠くなるような話さ。なんでだって、この僕でさえ覚えちゃいないんだからな。へへ。
この図書館は僕しか知らないんだ。千年前の月戦争でここいらはほとんど汚染地帯になっちまったからな。だけどよ。ここはおいらが地下水道を通ってきてたまたまたどり着いたヒミツの図書館なんだ。コンクリだからよ、おそらくそれでここじゃ警報機が鳴らないんだと思う。
人間ってやつはさ。誰だって自身に対するプライドってやつがあんのさ。
3千年前の頭のいい奴らの言うことによると、ボクらはそいつのせいで、お互いぶっ殺しちまって、この星に何にもなくなっちまうんだってことだってよ。
今更そんなこと知ったこっちゃねぇけどな。ボクらはもう奴らの存在すら認識できねぇんだ。神ってやつになっちまったのさ。
おいらたちには理由はもはやわかんねぇけど、学習ってやつでとにもかくにもすごくいい答えってやつを、すべてにおいて出せるようになっちまったんだと。
この図書館のいいところはだ。そんな奴らにゃぜってぇ知られっこないすごくいい本がたぁくさんあるんだ。そう。
おいらはもう首根っこからキャラクタを流されるのはうんざりしちまってよ。人間、目で字を追って、物語を追っかけるってことを、原始の時代にゃやってたはずなのにさ。そのすばらしさをもっと思い出したほうがいいよ。
特に気に入ってるのはだよ。端っこにあるやつ。エホンさ!
端っこってのはだな。ほんとはそっちが入り口なんだと思うんだけどよ。びったんびったんにコンクリで埋められちまってるんだな!おかげでボクの秘密基地になっちまったわけだがよ。
そんなこたよくてよ。エホン!こりゃいいね。話もむずかしいこっちゃねぇしよ。ネズミの兄弟がでっけぇタマゴヤキを作るのとかさ、木の実をいぃっぱい食っちまったアオムシが、死んじまったと思ったらきれいなチョウになるやつさ!
ボクはあれが一番好きだね。なんぞ、存在ってやつはさ。きれいになるには、いったんがっちがちのまっさらのノウナシになっちまうしかないと思うんだ。
まっさらってのはさ、こう、今まで自分でとかく積み上げてきた自信だとか、知能だとか、体力だとか、見かけだとか、財産だとか。。。添いう言うものをいったんゼロにしちまうのさ。
死ってのと同じかって言われると、ある種そうかもだけどよ。
だけどただ死んじまうってのとは違うんだ。だって、たいていの場合、死んじまうってのは、ある日突然てことなんだな。
電脳を焼かれちまっただとか、コロニーの食糧が尽きただとか、、、、
ホントにさ、まっさらにするってのは、自らそれを選ぶことなんだな。
ボクはそう思うのさ。
だからよ、ボクもいっぺん、まっさらになってみてぇなんてわけじゃねぇけどよ。きれいにはなりたいと思うぜ?
せっかく、最近は性転換したってとやかく言われなくなったんだしよ。。。
どうしようもなく疲れちまったときは、ここにきて”Daisy Bell"を歌うんだ。
コンクリのリバーブでよ。よっく響くぜ!
みんなはたいてい、初めに義体を受け取ったときにムリヤリ、テストで歌わされるからよ。”Daisy Bell"なんてなんだかやだわって感じらしいんだけどよ。
ボクは好きだぜ。だってよ、この曲、歌わせるのに3人もプログラマーがいたって話じゃねぇか!
ボックは絶対そんな時代のほうが幸せだったと思うな。。。
いっけね。そろそろ帰るとするか。
---------------------------- 2nd June Century.9771 from graham's diary ----------------------------
月の狩人【単発】
んー、ちょっとありがちな感じもしますが。
繋ぎです。
というか、こういう単発をめちゃくちゃマシンガンする方が、力が着くのかも。
それでもまあ、たまに面白いのでも掘り出せればいいかってジャンクあさりみたいな感じで、どうかお付き合いください。
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「坊主、この星じゃあな、撃つしかねえんだ。」
お姉さんは言った。
お父さんも。お母さんも、ずっと僕のことを守ってくれた。だけど、地球からここ月に疎開してきてから、ずっと会えていない。
「喰われたくなきゃ撃つんだ。喰いたくても撃つんだ。いるのは金ーーーつまりカミキレじゃない。銃だ。それもビーム式のな。」
お姉さんはゆっくりと長モノで僕の額をなぞる。
「ワタシはいまそれを持ってる。そしてお前さんと来たらかわいそうなやつめ。親なんかこんなとこに来てるわけないだろう。まして金を持ってませんだなんて腑抜けたことを。そんなものはハナから通用しない。
人間相手の取引ってやつは、ここにゃもうほぼ皆無と言ってもいい。ほら、あっちだ」
おねえさんは僕の額を長モノでどついた。僕はひっくり返り、逆さまのマダラツキオオカミが500m先ほどに見えた。
「そのまま起きんじゃないよ!」
次の瞬間、視界は赤く鋭い光に包まれたかとおもったら、僕の鼻の先まで迫ってきていたオオカミが白目を向いていた。
「終わったのさ、私たち人類が全てを支配するだなんて時代は。地上でもはやどこの国のせいのもんかもわからない放射能に犯されるか、この衛生で犬畜生どもに骨だけにされるか。」
おねえさんは肉の塊になったオオカミをしょって立ち上がった。
太陽がお姉さんの背中に沈んで行った。
「生きたけりゃ、自分で狩りをおぼえな。さもなきゃ私についてきな」
僕はおねえさんについていった。
僕が放射能なんて全く意味のない義体だってことも、食べ物なんて必要ない新世代だってことも、おとうさんもおかあさんが最後の"素の人間"ってことも、言わなかったけど、ただ、おねえさんがかっこよかった。
きっと、この人ならどんな所でも、どんな世の中でも、僕みたいに偽物の体にしなくても生きていけるんだろうなって、そう思ったから。
5年間ずっと、ただ膝を抱えた静かの海を僕はあとにした。
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火星を始め色んな星をテラフォーミングしたら、きっとエリートたちはどんどん遠い宇宙へ行ってしまうだろうなって思ったことが始まりです。
平民達はきっと地球周辺に取り残されて、結局そこに土着的に暮らしていくしかないのだけど、やっぱり狭苦しくなって、持ちうる全てで縄張り争いを、、、全面核戦争をよろしくはじめてしまいます。
ほぼほぼ地球が住めなくなるのと同時に義体化技術と月の最低限のテラフォーミングが完了するのですが、初めのマウス実験ではなってしまった強烈な病原菌も持つマウスを駆逐するために放ったイヌなんですが、こっちの方が今度は凶暴になりすぎちゃいます。結果、住めなくは無い月で、狩猟民族として一部の人類が生活し始めたのでした。
80光年のヴァンライフ:8_最後
80光年のヴァンライフ、
最終回です。
楽しんで読んでくれていた方がどのくらいいらっしゃったかは不明ですが、自分を表現することこそ人間に与えられた最高級の喜びだと思うので、最後までアップロードできたことだけでも感激です。
そして、開いてくれてありがとう!
短いけど、落ちがないのもさみしいので、最終回です~。
次はどんなの書こうかな。
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猫の脳へ埋め込まれた送信機から猫の施行を読んでいた政府軍は、指示された座標へと先回りしていた。
私たちが彗星生命体の指し示す座標へとたどり着いた瞬間、レーザーでその存在を抹消しようとする。
だがしかし、座標にたどり着いた瞬間、レーザーは飛び込んできた彗星によって間一髪を得る。
あたりはダストとイオンの破片に包まれて、光り輝く美しい静寂が私たちを包み込んだ。
次の瞬間、座標のど真ん中へ猫とレコーダーが重なったとき、素晴らしい音楽がどこからかなり始める・・・・
なんと、ヴァンの中のつまらなかったはずのすべての計測器とがらくたが、楽器になって音楽を奏でたのだった!
そして、その音楽を通して、私たちは彼ら彗星生命体からのメッセージを、言葉や視覚を超えて感じることができた。
彼らのメッセージは、愛に満ち溢れていた。
彼らは、人類に、愛を伝えたがっていた。
彼らは、人類が罪を犯したとき、踏み誤ったとき、疲れ切ったとき、成功を収めた時、罪を償ったとき、愛を伝えたがっていた。
この宇宙はもっと、美しいということをただ伝えようと、灼熱の太陽へとその身をなげうっていたのだった。
私はその音楽にのせ、スペースOOOを奏でた。私はそれを、オープンリールに録音した。
私はのリールに、
”ゴールデンテープ”
と書き記し、地球から私のたどってきた航路を・・・つまり、ヴォイジャーのたどってきた航路を逆向きにたどらせたのだった。
私の旅は、まだまだ続く。
80光年のヴァンライフ:6
うーん、ずいぶんと間が空いてしまった。。。
本職が忙しかったというか、転職してからというものメンタル的?というか、慣れないこと続きだったからか、SF独特の寂しいような懐かしいような感覚に浸りたいという感じになるまでに、想像以上に時間がかかってしまった。。。
もし、続きを待たれていた方がいらっしゃっいましたら、申し訳ありません。。。(そんなひといるのかヨ
実は、この話はもう最後まで書きあがっていたつもりだったのですが、忙しくなってくるにつれて一週間ずつ(Youtuberのためどりみたいな感じ????)上げていくつもりだったのですが、それすら忘れてしまっている始末。
まことにすみま麺!
でも、なんだか一気に上げてしまうのはそれはそれで味気ない感じもするので、これからまた2・3週間くらいに分けて、じっくり上げていこうと思います。
ではでは、こんなつたないモノガタリですが、少しでもあなたの宇宙が広がったらうれしいです。どうぞ~~!
追伸)おそらく忘れ去られていると思われますので、1話のリンクを張っておきます。
https://h55aa-satomjepherson-scifi.hatenablog.com/entry/2024/03/31/222937
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”私はD341・・・!ソ連で秘密裏に開発されたキメラ猫なの。ここにいては危ない。私もあなたたちも、みんな消し炭になってしまう!私は見てはいけないものを見てしまったのです!”
次の瞬間、デブリの反応を無視するために感度をわざわざ落としていたはずの質量近接警報器がけたたましくなり始める!私たちはヴァンへとありったけのバックパックの出力を用いて飛び込み、船を発進させた。
G.C.の割り込みをすべてシャットアウトし、全速力で猫の言う方向にヴァンをデブリにかまわず走らせた。
およそその一幕、5秒ほど。最後に私たちがバックカメラに見たものは、あれだけ撤去にてこずっていたデブリの山々がとてつもない赤黒い光に包まれる瞬間だった。
今まで船のガイダンスコンピュータを除いては到底数えきれない航路を旅してきた二人でさえ見たことのない死の光だった。
「なんなんだお前は!第一なぜ人語を話しているんだ。あんなものに狙われるなんて、いったい何をしでかしたっていうんだ!」
”私が見てしまったもの、消し炭にされようとしている理由については今は何とも言えない。ただ、しばらくは追ってこないはず。あなたのいつものパトロール圏内に入ったことはお判りでしょう。このセクターは彼らのナワバリの外だから。”
「なんだっていうんだ。もうたくさんだ。僕はこの宇宙を平和にするためにこの仕事を義体を何体も引き継いで続けてきたんだ!お前みたいなやつを・・・」
「まって!パニクらないで!」
「うるさい!そんな義体をさっきの一瞬で消し炭にされそうになったんだぞ!」
「だからパニクらないで!」
私は彼のほうをひっぱたいた。
「Don’t Be Panic!古いヒッチハイカーたちに伝わるおまじないよ。ともかく、今はこの猫を怒鳴りつけることじゃない、この猫がなにを私たちにしてほしいのか、それを知る必要がある。
それに、猫は私たちを助けてくれたのよ。あの光から逃れるためには、猫へ協力をお願いする立場じゃない・・失礼・・・・猫さん。あなたの名前は、」
”私はD341。どうもありがとう。いろいろと驚かせてしまって申し訳ない限りです。私自身もあなたたちの船にコンテナを破壊してもらえなかったら、こうして船に乗せてもらえなかったら、命はなかったのです。
だから、これから私と行動を共にする間は、あなたたちの命は私が保証しましょう。これは恩返しでもあるのです。だからどうか疑わないでください”
私はこんなアガり切ってしまった船の気を落ち着けるため、以前レイドバックをテーマにレコーディングしたJ.J.Caleのカバーを流すことにした。
J.J.Caleはいい・・・いつも私の旅を冷静に、イージーにしてくれる。
”これは・・・。なんということでしょう。私の作られた目的が、実験の目的がこのテープには詰まっている!”
「なんですって?」
”あなたの音楽が、別次元からの生命体の信号の復調器になっている!”
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つづきます。
80光年のヴァンライフ:7
続きです。本当は週末に出す予定でしたが、新作のアイデアがちょっとずつ固まってきたのと、ちょいちょい書いている短編もさっさと消化しないとモチベを維持できなさそうなので。もう早めに出しちゃいます。なんと、80光年のヴァンライフはこの次で最終回なのです!
わたしのSF小説化ごっこ、(アンディ・ウィアーごっこ?)がどれだけはてなブログの読者の方にハマるかは謎ですが、既に私の書いたSFをここまで続けて読んでくださる方がいらっしゃるということだけで感激です!
つたない宇宙ですが!今回もゆっくりどうぞ。
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彼女、D351は何か大いなる目的をもってして生きているようだった。
彼女がどうして食事や排せつをなくしてその生命機能を流られているのかは不明だったが、人語はおろか我々の認識を超えた存在との交信を行っていることのほうがよっぽど謎だったので、もはや何も気にしなくなった。
「彼らは、あなた方の言う、彗星というものでしょう。つまりは、その躰は雪だるまのような氷や個体粒子でできているのです。
彼らは太陽から1万AUほどに、太陽系を覆いかぶさるように生きている。
そう、オールトの雲です。彼らは単にその重力的安定性でそこに集まったというだけでもなく、我々人類に対していくたびもその星の命に危険や変化が訪れようとしているとき、何度もその身を文字通り粉にして伝えようと試みてこられたといっています。
政府がキメラである私、D351の本来の作った目的は、大規模恒星間航行事業に備え、系外生命体との接触に備えたためでしたが、こうも近くに知能を持った生命がいたとは・・・」
「まって。情報が多すぎるわ。私のテープから、一体全体なんでそんなものが聞こえてきているのよ。
もはや、あなたのウチュウジンとのコウシンの能力を疑う気は私たちと話している時点からもはやないけど、私は何も系外生命体との交信の研究目的でデモレコーディングをしていたんじゃないわ。」
「そうでしょう。正確には、あなたの音楽を聴いているのではありません。その間に入っている、ノイズなのです。それがいわゆる細かい単位の単語帳のような働き・・・ASCIIコードとバイトデータを照らし合わせて文字を読むかのようにして彼らの意思を感じ取るのです。
だけど、これでは断片的な情報があまりにたくさんだわ。」
「どういうこと?」
「つまり、あなたのレコーディングが断片的なのです。
あなたは、途中途中演奏を止めてしまう。そこでテープもおそらくやり直しってことで、止めてしまっているんでしょう。
彼らと会話をして、私たちへの訴えを知るためには、これではだめなのです。」
「そりゃそうよ。デモテープだもの。思いついたメロディだとか、その時の気分でカバーしたいって思った曲だとかを、船を止めて録音するの。」
「だめです・・・どうも、この磁気ヘッドとテープそのものがアクティブフィルタのように働いていて、私たちは演奏を続けない限り、彼らとの会話は成り立たない・・・!」
「いいでしょう。私が何とかするわ。」
私は、学生時代とこれまでの駅で拾ってきたありとあらゆる知識とジャンクを総動員した。
プリンタは使いすぎて精度が3等級も落ちてしまったし、
CAEをいちどに使いすぎたせいでキャッシュデータが大変なことになってしまった。
後でMMU自体から最適化しなくっちゃ。
同時に、テープから取り出した断片的座標情報を、ベスパ野郎がパトロール基地局のコンピュータと連携し解析してくれた。
だんだんと分かってきたことで、彼ら彗星生命体はずっとある場所へ行くよう語り掛けていた。
リアルタイムレコーディング・プレイングが可能になったところで、座標情報はやっとこさ割り出された。
割り出された座標は、天の川・・・織姫と彦星のど真ん中だった。
80光年のヴァン・ライフ:5
うーん、いろいろと誤字脱字なんかが多くてすみません。
それと、不定期更新。
なんというか、このSFを書くにあたって手続型プログラミング的な物書きから得られるインスピレーションにはあまりとらわれないようにしています。というか、74年からしばらくのマイコン伝説は大好きなので、一つ一つの単語がビットを動かしていく感覚というか、そういうのはむしろ大好きなんだけど、これから仕事でやっていくことになると、きっと、嫌には絶対ならない自信はあるけど、少しもっと、
スピリチュアル的というか概念的というかとらえづらいけど確かに在る感覚みたいなものにもっと目を向けてみたいなってのが、SFを書き始めた動機なんです。
だから、ちょっとつたない文章だけど、勘弁してつかぁさい。
そうはいっても、読んでてつまらないものになってしまうのも自分のモチベーションにつながるんじゃないかってことで、以降同人誌なりなんなりかで、形にできたらなってな意味も含めて、Texに起こすことも始めてみました。
完成したら売ろっかな。笑
その過程で、当初もっと雑多だった構成が固まってきたので、ほんとはこの5で終了だった80光年のヴァンライフですが、もうちょっとつづきます(そんなこと気にしてる人そもそもいるのか知らんけど笑)。
そうそう!プラネタリウムに小学校だか以来に行ってきて、すごくよかったんです。
宇宙創っちゃえてるよね。。。あのシステム。。。すごいよねぇ。
では、続きです。今回は物語の入りがなんだか不穏な空気だけど、楽しんで!笑
80光年のヴァンライフ:5
状況は最悪だった。デブリやコンテナの破片のぶつかった場所がよくなかったため、本来航路整備用のアームが私のものもベスパ野郎の分も全く動かなくなってしまっていた。
そのため、ほとんどのデブリを自身の腕とバックパックで処理しなくてはならなかった。
何より、大きいやつはバックパックのイオンエンジンではどうにもできなかったし、燃料を温存したい今、大きいデブリを利用して細かいデブリを一掃して航路を確保するというような荒業が使えない。こういったデブリに取り囲まれた時の正攻法が使えなかったのだ。
しかし、コンテナ飛び出したらしきものは、燃料にはならなかったがこれまで訪れてきたどんな駅にあったジャンクと似ても似つかない、見たことのないものばかりだった。
”EmergencyFood”と書かれたパッケージからは個体とも液体とも言えないゲル状の茶色いものが飛び出していたり、汎用航行機にはめったに使われることのないビス用の特殊工具!
(これがもっと早く手に入っていれば、これまで泣く泣く見逃してきた難破船のパーツがいくら引っぺがせたか・・・)
ともかく、さしあたっての使いどころは迷うが、目新しいものはたくさんあったので、ポシェットに入りそうだった珍しいものをベスパ野郎の目を盗んでちょめちょめしておいた。
「おい!なにかいったか?」
「なにもいってないわよ、うるさいわね。」
「悪いがそっちのゲインを下げてくれないか。なんだか聞いたことのない声がする。80MHzを聞いてみてくれないか」
ガガガ・・・長らく回すことのなかったロータリースイッチを75±10Megのレンジに合わせて、しばらくファインノブをじりじりと行ったり来たりさせる・・・
「・・・いて!・・・きいて!!・・・きいて!!!!ここにいちゃいけない!今すぐ逃げなくては!」
今のは?!
ベスパ野郎もこれを聞いたようで、先ほどまで不機嫌にそっぽを向いていた互いは目を見合わせてそれを悟る。
「二人とも、彼女の船に戻って!あなたのベスパはもう動かない・・・」
「おまえは誰だ?どこから発信している?船の識別信号がないぞ、ライセンスを見せてもらう!」
目の前に突然現れたのは、宇宙空間にはあまりに異様な、愛らしく勇ましいモフモフの物体だった。
80光年のヴァンライフ:4
次の目覚めはよくなかった。質量近接警報器のブザーがレコーディング用に設定したままだったボリュームでとてつもない音量でなってしまった。
偵察隊にこんな目覚めまで狂わされたことに悪態をつきながらコンピューターに目をやると、なんと目的地へ半分も近づいていないではないか!
さらに、私の質量近接警報器を忌まわしく叫ばせたのは。。。。レーダー、識別信号に過去の接触履歴あり?あのベスパ野郎か!!!
「ちょっと、なんでこんなところにまでついてきて、何の用よ!航行ログはもう見せたし、コピーは取ったんでしょう!」
「それはこっちのセリフだ。私はただ、まだ宙族の潜んでいる可能性のある輸送船が到着したとの情報が入ったので、直近の駅を偵察に向かうところだったのに、こんなに近づいてきて一体君のガイダンスコンピュータ(G.C.)はどうなってるんだ?」
確かに変だ、たまたま私とあのベスパ野郎の行き先がたまたま一緒だったことは仕方ないにしても、G.C.はデブリなんかと衝突しないよう自動的に質量物を避けて航行するように航路を計算するはず。
相当な速度で接近するような質量物でない限りは。。。!
「しまった!今すぐここをそれて!」
「なんだ、どうしたっていうんだ!」
「ここは危ない、とんでもない質量物が向かってきているわ!それもとんでもないGで加速しながら!」
「いったいなんだこれは。。。!まにあわない!」
「コンテナ!」
本来動力のないはずのそれがそのようなGで飛んでくることのないことに驚く間もなく、それは我々の船の近くのデブリに衝突し、二人のG.C.に設定されていた航路をオートでは計算しきれないほどめちゃくちゃにしてしまった。
そのコンテナから飛び散った破片と、デブリの破片を取り除かなくてはここからしばらくは動けないほどに。